オトガイの横幅を理想的に細くする手術方法
大まかには、下記の4つの方法から最善の方法を選択するのですが、いずれも下歯槽神経の走行位置が重要なカギを握ります。オトガイ幅を細くするに…
※ CT、3次元実体模型なくして外板分割切除は行うべきではありません。下歯槽神経損傷の可能性が少なからずあります。私は3次元実体模型で下顎骨内を走行する下歯槽神経の深さをあらゆる位置で把握したうえで安全に外板分割切除を行っています。神経の深さによって切除範囲、切除方法が異なります。
骨切りか?骨削りか?の手術適応の選択ですが、2次元実体模型から下歯槽神経の走行の深さを確認し、評価したうえで術式を決定します。
通常は、下歯槽神経走行の深さは外側皮質骨から5~10mmの距離があります。その場合には最大限に小顔効果を出すために、私は外板を全層に分割して切除します。その際に安全に分割するためにピエゾサージェリーという最新の超音波骨切り器を使用します。Splitting corticectomyは、難易度が高い手術であり、行えるクリニックは限られています。ごく稀ですが、下歯槽神経が外板の裏側ぎりぎりを走行しているような場合(深さ4mm以内)に外板を切除しようとすると下歯槽神経損傷の可能性が全くないとは言えません。したって安全を一番に考え、ラウンドバーで外板を削る(shaving)だけにします。外板をある程度削った後は慎重に低速回転として深く削りこまないようにすべきです。
なおCTが撮影できないような施設で手術を行うのであれば神経の深さは全く分からないため外板は削るだけにすべきです。通常のレントゲンでは神経の深さは全くわかりません。
※ 咬筋を薄くするためにボトックス注射を繰り返す方法もあります。しかしボトックスの効果が持続するのは4~6ヶ月程度です。ラジオ波に咬筋減量法は永久効果であるため、患者様にとってはボトックス注射を繰り返す手間が省けます。
※ 頬(口角の横あたり)がふっくらしている場合には、buccal fatの切除が効果的です。また咬筋だけが薄くなって、頬部の肉厚感にアンバランスが生じる場合にはbuccal fatを同時に摘出します
※ 下顎角に限定した小さい範囲でのエラ切除では、なめらかな下顎ラインとならず不自然になることがあります。また骨切り範囲が小さいと小顔効果も薄れます。
エラ(下顎角)~オトガイ神経の出口(アゴ先の横)まで広範囲に骨切り(EMAO)を行うため最大限の結果をもたらします。技術的には難しいのですが、私のオリジナル方法(EMAO)として海外の医学ジャーナルに発表しています。
エラの骨切りをする際には、オシレーティング骨鋸(のこぎり)による骨切りが主流です。骨切り線は直線となり、また口角にてハンドピースの動きが制限され、術者の意図したとおりに骨切り線をコントロールできません。特に下顎枝後縁においては垂直(頭側)方向の骨切りとなるため、術後Gonial angleは正常範囲を大きく逸脱し、角部が喪失することもあり、エラがまったくなくなってしまった不自然な形態となります。さらに骨切り線が関節突起方向に向かった場合には骨折をきたす可能性すらあります。
私が開発した方法であるコントラアングルドリルとオステオトームを組み合わせることにより、安全で安定した骨切りが可能です。下顎枝後縁からオトガイ結節に向かって外板上で予定骨切り線に目印としてラウンドバーを用いて溝を掘り、次いでコントラアングルを用いて溝に沿って1~2mm間隔で垂直に骨孔を開けていきます。その後オステオトームを用いて全層骨切りを行いますが、骨孔が“切り取り線”の役割をなして容易に骨切りを完了します。本法は下顎枝後縁で水平方向の骨切りを行うことにより、Gonial angleを正常範囲内に収めることができ、角部喪失(anglectomy)ではなく、本来の目的である“新しく小さいエラを形成(angleplasty)”することができるのです。
※ CAD/CAMコンピュータ・システムの発展により、現在では患者様ご自身の顔面骨と実物大の3次元立体模型が手軽に手に入れることができるようになりました。3次元実体模型は、CTスキャンから抽出されたデータから製造されます。患者様の解剖構造に関するあらゆる情報が提供されます。この模型のおかげで、手術は安全に執り行われ、手術前に綿密な計画を立てることにより最大限の効果が得られ、かつ手術時間も短縮されるため患者様への負担は最小限になりました。
※ エラ骨切り術を安全に効果的に行うためには重要な解剖学的要素は、下顎骨の内部を走行する下歯槽神経の位置です。下歯槽神経の走行を把握できなければ安全で効果的な手術は行えません。
※ 3次元実体模型(CTデータより作成)を手術前に作成して、下歯槽神経の位置を確認したうえで手術を行うため最大の小顔効果が引き出せます。通常のレントゲン、セファロなどでは、エラ手術で安全に最大効果を出すのに不十分です。
※ CT、3次元模型により神経、筋肉などの患者様の詳細な情報を得たうえで手術を行うため安全性が高い。咬筋の表面側には顔面神経が走行しているため、CTデータより咬筋の厚さを把握しておく必要があります。
※ すべての人は顔面の左右差(非対称)があります。CT、3次元模型により下顎骨(硬組織)、咬筋(軟組織)などの左右差は明らかになります。これによりで術後は、できるかぎりの左右対称性が得られます。
※ 下顎骨の左右差が強い場合には、3次元模型からテンプレートを作成します。この作業により下顎骨の対称性がかなりのレベルでえられます。
大まかには、下記の4つの方法から最善の方法を選択するのですが、いずれも下歯槽神経の走行位置が重要なカギを握ります。オトガイ幅を細くするに…
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