顎矯正手術 顔面非対称

顎矯正手術 顔面非対称下顎非対称
 

ヒトの顔面は本来非対称であり、これが顔の表情に温かみを与えていると言われています。一方で、非対称が一定の範囲を超えると、変形として認識されます。顔面の歪みはさまざまであり、正面顔で左右差の形態の明らかな差が認められるものを、顔面非対称と呼びます。

変形が及ぶ範囲によって治療法が異なりますので、その観点から顔面非対称を分類します。

下顎のみに明らかな左右差がある場合を下顎非対称症と呼びます。

下顎のみならず上顎にも変形が及ぶ場合を上下顎非対称症とします。

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下顎非対称

症状について

LeFort1 型骨切り術

顔貌上では、口裂の偏位(特に下唇の偏位)、オトガイ最下点の偏位、下顔面の輪郭変形、左右下顎角の位置の差、関節突起の長さ・形態の左右差、下顎枝の長さ・形態の左右差などが挙げられます。全体として下顔面の輪郭に様々な程度の歪みを認め、下顎前突を伴うことが多いようです。

顔貌、骨格上の特徴としては次の6点が挙げられます

  1. 口裂の偏位(特に下唇の偏位)
  2. オトガイ最下点の偏位
  3. 下顔面の輪郭変形
  4. 左右下顎角の位置の差
  5. 関節突起の長さ、形態の左右差
  6. 下顎枝の長さ、形態の左右差

歯列上で認められる所見としては次の3点が挙げられます

  1. 顔面正中に対する下顎歯列正中の偏位
  2. 交叉咬合
  3. 下顎前歯歯軸の近遠心的傾斜

治療法

変形の度合い、位置によって様々な治療法が考えられます。時にこれらを組み合わせて複合的に行われます。

  1. 下顎枝矢状分割術(SSRO)
  2. 下顎枝垂直骨切り術(IVRO)
  3. 下顎前歯部歯槽骨切り術+オトガイ形成術
  4. 下顎体部の増量術,減量術
  5. その他

上・下顎非対称

症状について

LeFort1 型骨切り術

非対称の原因が上下顎に及ぶものを、上下顎非対称または両顎非対称と呼びます。この場合には上顎咬合平面の左右傾斜が見られます。このような症例に対して、下顎骨に対する手術だけを行った場合には、上顎骨の歪みが改善されないため、術後にはその歪みの程度の応じた顔面の非対称が残存します。したがって上顎骨にまで変形が及んで、咬合平面の左右傾斜をきたしている重度の顔面非対称症例に対しては、咬合平面の修正を最優先に考える必要があります。

治療法

顔面非対称症については、顔面非対称の評価結果と顎顔面の前後的および垂直的形態分析結果に基づき、顎矯正手術の必要性の有無を検討します。外科手術が必要な場合には、下顎骨に対するOne-Jaw Surgeryか、それとも上顎骨にまで範囲を拡大したTwo-Jaw Surgeryが適応なのかについて慎重に結論を出します。通常は上下顎非対称症例に対しては、上顎LeFortI型骨切り術と下顎枝骨切り術(SSRO,IVRO)を併用した上下顎同時移動術(Two-Jaw Surgery)が施行されます。