顔面輪郭形成術 オトガイ(あご)・顎削り整形手術
オトガイ(頤、おとがい)という解剖用語は、「あご先」のことです。一般的にはオトガイのことを「あご」と称しますが、「あご」は医学的には下顎、上顎を含めて広い範囲を意味します。本サイトでは、下顎の先端、すなわち「あご先」のことを「オトガイ」とカタカナでの表記とさせていただきます。
ニュース
2024.4.9
Dr.広比の執筆した “オトガイ前額断骨切り術“ の論文『 Coronal-splitting Reduction Genioplasty Combined with Bilateral Osteotomies of the Mandibular Inferior Border for Macrogenia』が、世界最高峰の形成外科医学誌『Plastic and Reconstructive Surgery』Global Open (RPS GO) (Impact Factor:1.5) 2024年4月号に掲載されました。
2020.10.28
Dr.広比の執筆した “オトガイ(顎)形成術“ の論文『A New Concept of Narrowing Genioplasty: Home Plate–Shaped Sliding Osteotomy』が、美容形成外科分野では世界最高峰の米国医学専門誌『Plastic and Reconstructive Surgery』(Impact Factor:4.730)2021年8月号に掲載されました。査読者3人中2名はパーフェクトの評価をいただきました。顎のVライン形成術で従来の方法を凌駕する新しい術式で、今後は世界標準の術式になると考えます。
オトガイに関する学会発表
2023年5月 |
第111回日本美容外科学会 シンポジウム14 匠の技ーわたしの究極のこだわり「顔面骨切り術〜成功に導くための私のこだわり」 |
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2022年9月 |
第45回日本美容外科学会総会・学術集会 特別企画:美容形成〜事始めから匠への道 Contouring『顔輪郭』「顔面骨骨切り手術をいかに極めるか? ー26年間4700例の手術経験を通しての提言ー」 |
2021年5月 |
第109回日本美容外科学会 シンポジウム 1 匠の技 2:成功のコツと注意すべき pitfall「下顎Vライン形成におけるオトガイ部ホームベース型骨切り術の有用性」 |
2018年10月 | 第41回日本美容外科学会総会 教育講演3 顔面輪郭形成「顔面輪郭形成術を成功させるために」 |
2017年 11月 | 第35回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会「下歯槽神経に配慮した術式の選択」 |
2017年 4月 | 第60回日本形成外科学会総会「下顎Vライン形成におけるオトガイ部ホームベース型骨切り術の有用性」 |
2015年 9月 | 第38回日本美容外科学会総会「下顎輪郭形成〜外科的治療でしかできないこと」 |
2015年 6月 | 第103回日本美容外科学会「典型的な美人顔を創造する」 |
2013年 4月 | 第56回日本形成外科学会総会・学術集会 ミニシンポジウム8「下顎形成術 顔面下1/3の左右差改善のコツ」 |
2012年 10月 | 第35回日本美容外科学会総会「下顎V-line形成術」 |
2011年 6月 | GID学会 第13回研究大会 シンポジウム -GIDの外科療法について-「GID患者における顔面輪郭形成術」 |
2009年 4月 | 第52回日本形成外科学会総会 モーニングセミナー招待講演「顔面輪郭形成術を成功させるコツ」 |
2008年 5月 | 第94回日本美容外科学会 教育講演【顔面骨の美容外科】「顔面輪郭形成術における単独・複合手術の適応とpitfall」 |
2008年 4月 | 第51回日本形成外科学会総会「男性患者における下顎角形成術」 |
2007年 11月 | 第25回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会「内視鏡下下顎角部水平骨切り術」 |
2007年 4月 | 第50回日本形成外科学会総会「輪郭形成術における単独手術・複合手術の適応」 |
2006年 10月 | 第29回日本美容外科学会総会「下顎(エラ・オトガイ)形成術のコツとポイント」 |
2004年 4月 | 第47回日本形成外科学会総会「オトガイ形成術におけるさまざまな工夫 ~骨切り法、インプラント法~」 |
さまざまなオトガイ形成手術
減量術(Reduction)
増大術(Augmentation)
さまざまなオトガイの形態・悩み
オトガイ部(下顎結合部)は顔貌を特長づける重要な部位で、正面顔(正貌)、横顔(側貌)においてさまざまな形態的な特徴があります。頬骨、エラに関しては、患者様の要望はほとんど「小さくしたい!」ということですが、オトガイに関してはそれと異なり、さまざまな悩みがありますので、細かくに解説してまいります。
減量術(Reduction)が必要なもの
オトガイが長い
オトガイが突出している、しゃくれている
オトガイが大きい、幅が広い、角張っている
オトガイが曲がっている、左右非対称
増大術(Augmentation)が必要なもの
オトガイが後退している、引っ込んでいる
オトガイが短い
実際にはこれらの形態が組み合わさって存在することも多く、ときに複合手術が必要となります。
- オトガイが後退して、かつ短い
- オトガイが長くて、幅広い
- オトガイが突出していて、長い
- オトガイが曲がっていて、長い
など、複合的な形態を把握して、手術を計画する必要があります。
さらに言うと、オトガイ手術・顎削りを計画する際には、オトガイ部だけにとらわれることなく、下顎・上顎の形態を広く評価したうえで、いかなる手術を選択するのかが重要です。オトガイは下顎全体の中のごく一部ですが、上顎、下顎骨のほかの部位と密接な関係にあります。オトガイ単独手術では、他の部位とバランスを崩すことが少なくありません。
下顎全体が長いのに、オトガイだけを短くした場合にはオトガイ幅が広くなり、エラが張ったような顔になることがあります。
そこで多くの手術法を的確に使い別けて治療に当たる必要があります。オトガイ形成術は、しばしば下顎角(エラ)形成術、顎矯正術(SSRO、IVROなど)と同時に行われます。
解剖
下顎骨はL字型の左右両半からなり、水平の骨部を下顎体、垂直の骨部を下顎枝といいます。下顎の正中部の前面には両半部が癒合した部位を示す細い隆線が上下方向に走りますが、この隆線の下端近くにはオトガイ隆起という三角形の輪郭をした高まりを作っています。
この隆起の中心から2cmほど外側が特に膨隆するので、オトガイ結節と呼ばれています。これらはいずれも境界が不鮮明な高まりですが、正中にあるオトガイ隆起と左右のオトガイ結節とは全体として下顎底の前方への突出を形成しています。これをオトガイ(mentum,chin)と称します。
下顎体の正中線から3cm程離れたところで、オトガイ結節の斜め上方にはオトガイ孔が開口しています。これは下顎管の出口ですが、オトガイ孔はむしろ後方に向かって開いています。
※ オトガイが前方に突出しているのは人類の特徴なのです。ゴリラなどの猿人類ではもちろん、化石として知られている猿人や原人でもオトガイの突出はありません。
横顔
顎の突出度合いを評価する際、鼻尖と口唇との関係ではRikettsのE-lineが一般に知られています。
ひとつの基準として参考にはなりますが、鼻尖の高さ、口唇の突出度によってオトガイ先端の位置が大きく変わってしまいますので、あくまで参考程度と考えられた方がよろしいでしょう。
例えば、鼻が低く、口元が出ている人では、E-ラインに照らし合わせると、アゴ先は思いっきり前に出て、しゃくれてしまいます。これはおかしい話ですね。その意味ではEラインはあくまで参考の一つとしてください。
私はカウンセリング時に横顔写真を撮らせていただき、整形手術前後の変化をコンピュータ・シミュレーションで行っています。患者様にも大変わかりやすいと好評です。
正面顔
オトガイの理想的な長さに関しては、鼻下点からオトガイ下端までの長さが女性では70mm(男性では75mm)を平均とし、下口唇(赤唇)下端~オトガイ下端までの長さは、女性で35mm、男性では38mmを理想値として骨切りデザインを決定しています。
オトガイ幅径は左右光彩内側縁間から左右鼻翼間幅径の間であることが望ましいとされています。女性であればオトガイ両端に角がない(まろやか)のが好まれます。
術前検査として、CTを撮影します。3次元的な骨、軟部組織形態を把握することができます。さらに手術に際して最も重要なことはオトガイ神経、下歯槽神経の走行を精密に把握することです。そのために3次元実体骨模型を必ず作成します。