顎矯正手術 下顎前突(受け口)整形手術下顎前歯部歯槽骨切り術
術前検査
CT scans
検査はCTが必須です。さらにこのCTデータから製作される3次元実体模型は必需品です。CTでの画像データはコンピュータ上でいかにも処理できますので、必要なデータが様々な情報として私のもとに入ってきます
骨切り、骨切除の際に最も重要な下歯槽神経の走行(深さを含めた正確な位置)が全範囲でこちらもコンマ数ミリ単位でわかるのです。
3次元実体模型 computer-based 3D skull model
3次元実体模型はCTデータから抽出されたデータをもとに、個々の患者様の頭蓋骨と等大で製作されます。
咬合模型
歯列模型(印象)を2組作製します。手術前に歯列模型でモデルサージェリーを行い、術後その位置で安定するシーネ(オクルーザルスプリント)というガイドを作製します
手術中は、咬合をこのシーネに合わせた状態で、骨片のチタンプレート固定を行います。
その他の手術前検査
手術は全身麻酔で行われます。安全に麻酔がかけられるように、手術前に検査が必要になります。
血液検査
貧血や出血傾向の有無、肝臓や腎臓機能、血糖値、感染症の有無などを調べ、全身麻酔や手術に耐えられるかどうかを調べます。
検査項目
TP、GOT、GPT、γ-GTP、CPK、血Amy、T-cho、TG、GLU、BUN、Na、Cl、K、WBC、RBC、Hb、Ht、PLT、MCV、MCH、MCHC、PT、PT-INR、PT-%血液型、Rh血液型、HBs抗原、HBs抗体、HCV抗体、TP抗体、HIV抗原抗体
貧血、肝機能、腎機能検査、血糖、電解質検査、血液凝固機能検査、感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、梅毒、HIV)、血液型(ABO,Rh)不規則抗体、など、麻酔、手術等を安全に実行するための条件に関わるものや、輸血を行う場合の準備、院内感染予防・リスク評価のための検査を行います。
心電図(ECG)
不整脈の有無や種類、心筋虚血(しんきんきょけつ)、心臓肥大、心筋炎などの可能性がわかります。術前検査の一つとして手術を予定されている患者さんの心臓に問題がないかを確認するために行います。
胸部X-P
胸部にある臓器(主に肺・心臓・大動脈など)、つまり呼吸器と循環器に異常がないかを調べる検査です。胸部全体にX線を照射して平面撮影し、肺に異常な影がないか、心臓の形に異常がないかを調べ手術や麻酔が安全に出来るかどうかを評価します。
血圧測定
術中術後の血圧上昇は出血のリスクを高くするため,周術期管理において安定した血圧を維持することが重要となります。また異常の早期発見や適切な全身状態の管理を行うことを目的とします。
身長・体重
麻酔をかけるための計算を目的とします。
体重から麻酔薬剤などの計算をし、身長から挿管に使う管の長さや、胃に入れる管の長さを想定します。
手術前評価
横顔
側貌において、上・下顎の突出度合いを評価します。セファロ分析も重要な役割を果たします。
赤唇とオトガイ唇溝を観察します。上口唇に対する下口唇の突出度合いで、セットバック量を検討します。
咬合の安定が得られるよう手術は行われます。本術式では臼歯部は一切手を付けないわけですから、前歯の被蓋関係だけを評価します。前歯部では、下顎前歯が上顎前歯の内側に接触し、臼歯部の安定した咬合を得ることが目標です。しかし前歯部の被蓋関係だけを重視しますと、顔貌改善が不十分なことも少なくありません。
顔貌重視の治療ゴールでは、下顎セットバック量を多く設定するために、術後には相対的な出っ歯(上顎前突)となることがあります。上・下顎前歯部のバランスで、下顎の十分な後退量を確保したうえで、上顎手術(上顎前歯部歯槽骨切り術)を併用するかどうか決定します。
上顎手術を同時に施行しない場合には、通常は手術後の歯科矯正を検討することになります。また骨切り後のオトガイ側は後退させる必要があるか判断します。
手術前に横顔の写真を撮らせていただき、コンピュータでシミュレーションを行っています。患者様にも大変わかりやすいと好評です。