オトガイ(あご)・顎削り短縮(顎を短くする)の整形手術
長いオトガイを、短くするための方法は?
- オトガイ水平骨切り術(中抜き法)
- オトガイ下端削除術
- 下顎枝矢状分割術(SSRO)あるいは下顎枝垂直骨切り術(IVRO)
オトガイ水平骨切り術(中抜き法)とオトガイ下端削除術
下顎骨全体ではなく、オトガイ部位だけが尖がっていて長い場合には、オトガイ水平骨切り術(中抜き法)を行います。骨片移動後の両端の段差を解消するにはテクニックを要します。その際オトガイ神経麻痺を回避するためには、3次元模型で下歯槽神経、オトガイ神経の詳細な走行位置の確認が必須です。
わずかに短くするのでよければオトガイ下端削除術を行うこともあります。オトガイ高が38mm程度で、短縮量が3mm(~5mm)程度であれば、この術式が使えます。
2つの術式の使い分け
この2つの術式をどのように使い分けるかについて説明します。
オトガイ下端を削るということは、アゴ下~頸に向かう筋肉をどんどん剥離してから削ることなり、術後にアゴ下のたるみが強く出ることがあります。したがってオトガイ短縮手術としては、あえてオトガイの先端の骨を残す(すなわちオトガイ筋群をできるだけ温存できる)中抜き法が主流なのです。一方でわずかな短縮(3㎜以内)であれば剥離する筋肉も少なくて済み、オトガイ下端切除術も使えるというわけです。
次に形態的なお話ですが、アゴが長い方のうち、オトガイだけが長いという方は意外と少ないものです。実際には下顎全体が長いことが多いのです。その場合にオトガイだけを短くしたら、長方形の顔型になってしまいます。下顎角に向ってエラ骨切り術(拡大下顎下縁切除術(EMAO))ないしは下顎枝矢状分割術などを併用して理想的な卵形になるよう手術を計画する必要があります。
またオトガイが長い患者様では、ほとんどのケースでオトガイが突出していることが多いものです。オトガイ部の骨切り、骨削りでオトガイ部位を短くしながら後退させた場合には、骨と軟部組織とのバランスを崩して、皮膚、オトガイ筋群があまって弛みが強く出てしまします。この弛みはその後も改善する手段がないのが実情です。患者さんの表現では「アゴの肉があまっている、二重あごが気になる」などです。したがってこのような不都合な状態をつくる手術は避けるべきです。
その場合にひとつの解決方法となる手術法は、下顎枝矢状分割術などであり、下顎骨全体を後退(後ろに下げる)させる手術です。下顎骨を後退させるとオトガイだけではなく、下顎全体が短く、小さくなります。
オトガイが突出していることによって長く見えている(実寸は35~38mm程度)患者様には良い適応です。但し術後の咬合状態が変わりますので、歯科的な治療(矯正など)を併用する可能性があります。