オトガイ(あご)・顎削り細く(顎を細くする)の整形手術
オトガイの両端に角が有って、オトガイ幅が広く、女性的なあごではない、という相談をよく受けます。このような患者様のオトガイ形態は、オトガイ中央部(下顎結合)より結節部が下方に下がっているケースがほとんどです。
オトガイの横幅を狭くする(V型のあご先)手術
オトガイの横幅を細くする手術では、さまざまなテクニックを駆使します。両側の下端を削れば良い、というわけではありません。両端を削ってもオトガイはあまり細くはなりません。下顎骨はオトガイ中心部から両側下顎角まで連続的につながっているわけです。オトガイ幅を細くする場合には下顎骨全体の中でのデザインになります。
- オトガイ結節削骨法
- オトガイ垂直中抜き法
- オトガイホームベース型骨切り術
上記の3つが代表的な方法です。それぞれに特徴(長所、短所)がある術式ですから、患者様のオトガイ形態、希望する形態によって術式を使い分けます。
オトガイ結節削骨法
オトガイ結節削骨法は、オトガイ部の下端を斜めに骨切りをすることによって、オトガイ横幅を減少させます。ただし下顎骨の形態によって骨切りの水平長は異なり、下顎角(エラ)付近まで延びることもあります。
術前に作成する3次元模型から骨切り線は決定します。オトガイ幅径を細くするには、通常新しく形成されるオトガイ結節間距離を約15mmに設定し、両側下顎角に向かって下顎下縁(底面)骨切り術を行います。
垂直中抜き法
垂直中抜き法は、2009年に韓国から発表された方法です。水平骨切りの中抜き法を、縦方向、すなわち垂直方向にしたものであり、オトガイの横幅を減じる手術です。オトガイ結節が左右に残るため、いわゆるV字ラインをつくるのには適してはいません。角を残したままで幅を狭めるイメージです。
通常は8~12mm程度の幅寄せを行います。骨切り後に左右の骨片を中央に寄せて固定します。両端には必ず段差が生じるため、その段差を均さなければなりません。下歯槽神経の位置を確認したうえで、適応を決定する必要があります。
また両端の骨片を中央に寄せる際に、オトガイ筋群がたわんで突出する形となるため、結果としてオトガイは、術後にはやや前方に出ることになります。オトガイが後退している方には良い結果となりますが、突出している方では注意が必要です。
オトガイ短縮+狭小
オトガイを短く、そして細く希望される患者様もおられます。その場合には、水平・垂直骨切りを同時に施行します。2個の中抜き骨片を摘出すると、両端の段差は一層顕著で、症例によっては、下顎角まで連続して段差処理を行う必要が生じます。
実際にはこの長さ、細さを同時に追求した場合には、オトガイ全体で見た場合には不自然になることも少なくありません。水平、垂直骨切り術を併用する場合にはそれぞれの切除量を控えめにすることが肝要です。そして段差処理は、ほとんどの患者様で下顎角(エラ)まで骨切りが必要になります。
オトガイホームベース型骨切り術
オトガイホームベース型骨切り術は、この3つの術式の中では最も美しく、細いあご先を形成できる方法です。美しく仕上がる患者様は以下の方です。
- オトガイ高が33mm以内の方
- オトガイ結節が中央部よりも下がっている方
この高さの相対的関係は、骨のレベルの話であり、実際に皮膚上の問題ではありません。したがって、レントゲンなどで確認してみないと一般の方には判断がつきません。ホームベース型骨切り術では、あご先が短くて平坦な場合には、顎の長さを足して、少し細くしながら長くする方法です。またオトガイが平坦で幅広のケースでは、オトガイ中央部より結節部が下方に下がっているケースがほとんどです。
このような症例ではオトガイ形態を細く改善するためにはスクエア型に骨切りを行って、その四角い骨片を裏側の筋肉は剥がさずに、下方に延長してその両端を細くしてホームベース型に細工します。長さは基本的には中央部で35mmを理想とします。骨の固定はチタンプレートにて行います。
流行のVライン形成では、さまざまな骨切りデザインを使い分けます
あご先を細くするVライン形成術は韓国、日本を中心に流行の手術です。但しVライン形成術いうひとつの定型的な手術法があるわけではありません。患者様のオトガイ、下顎骨の形態に適した手術を行うことになります。
下顎骨の形態、下歯槽神経の走行は患者様各々に異なります。オトガイの形態をV ラインにしたい場合には、その患者様の解剖形態に適合した骨切りを行なわないと、思ったほどの効果が得られません。またオトガイ神経損傷の可能性が高まり危険です。3次元実体模型にて、下顎骨形態、下歯槽神経の走行を把握した上で、最大効果を発揮するVライン形成術を提案いたします。