顔面輪郭形成術 顔面輪郭形成術最強の小顔手術・整形:MMR法
手術の方法
下顎枝垂直骨切り術(IVRO: Intraoral Vertical Ramus Osteotomy)
下顎枝を下顎切痕から下顎角に向かって垂直方向に離断する下顎枝垂直骨切り術(IVRO)は、Hallにより手術術式が改良され、顎間ゴムの使用などによる後療法が確立されたことから優れた術後の安定性が得られるようになりました。
私のクリニックでは、小顔形成術として下顎全体の後退を目的とする際には、下顎枝矢状分割法(SSRO)ではなく、この手術方法を第一選択にして行っています。
手術前準備
咬合模型を2個作成して、モデルサージェリー(手術シミュレーション)を行って、術後の最適な噛み合わせの位置を探ります。大切なことは奥歯(臼歯部)でどれだけ良好な噛み合わせが得られるか?、前歯部では左右のズレをできるだけ矯正することにあります。手術前には、最適な位置でのオクルーザルスプリント(術中、術後に使用)を作成しておきます。
CTデータより下顎骨3Dモデルを作成します。この3Dモデルを利用して、エルコプレスで骨切りラインをデザインしたテンプレートをあらかじめ作成しておきます。手術の数日前には、手術直後から行う顎間固定の為に、歯に矯正時に使用されているリンガルボタンというものを患者様の上下の歯につけていきます。つける個数はその方の噛み合わせの状態により異なります。おおよそ2~3ヶ月で外します。
局所麻酔薬の浸潤
0.25%キシロカインEを下顎枝前縁、下顎枝外側切痕部、内側切痕部、下顎角部、下顎大臼歯歯肉頬移行部に浸潤させます。十分なエピネフリン効果を待って切開に移ります。
切開
下顎枝外斜線上で、下顎咬合平面やや上方の高さから下顎第一大臼歯近心にいたる約30mmの粘膜、骨膜の切開を行います。切開は低い位置で始めることにより脂肪組織の逸出、頬神経の損傷が避けられます。
剥離
骨膜剥離は側頭筋の剥離から始めます。下顎枝前縁より、骨膜剥離子にて下顎枝ない外斜線に沿って側頭筋腱を幅広く剥離しつつ、筋突起基部まで剥離します。下顎枝外側骨膜の剥離を行います。咬筋深層、頬骨下顎筋が停止するため注意を要します。咬筋の発達した症例や下顎枝の内側への弯曲が強い症例では骨膜や筋膜を破綻させやく、幅広く骨膜剥離を進めるとともに、弯曲の骨膜剥離子を用いつつ丁寧に行います。下顎枝内側では下顎切痕から下顎孔に至る部分の剥離を行います。下顎枝内側の剥離は、側頭筋の停止する筋突起の内側から内斜線に沿って幅広く行うことより始めます。
垂直骨切りの手順
テンプレート装着
骨切りは下顎孔後方で、上方は下顎切痕に、下方は下顎角前方の下顎下縁にいたる骨切りを行います。私は術前に3次元模型を用いて、骨切りラインのテンプレートをエルコプレスにて作成しています。垂直骨切りに先立ってこのテンプレートを装着します。このテンプレートは、下顎切痕、下顎枝後縁、下後角前縁の3ヶ所で固定されますが、オシレーティングソーで骨切りを行う際にズレを防止するために、念のため2ヶ所でプレート固定しています。
リトラクター挿入
骨切りに際して、下顎枝内側にはマレアブルリトラクター、外側にはスプーン型トラクターを挿入します。骨切り時の術野が確保され、顎動脈などの重要な周囲組織が保護されます。
垂直骨切り
はじめにテンプレートの後縁に沿って、下顎孔後方より全層骨切りを行います。中央部より骨切りをはじめて、次に下顎角に向かい、その後に下顎切痕部への骨切りを行います。切痕部への骨切りは骨が薄く容易です。
近位骨片の調整
骨切りが完全に行われると、リトラクターを下顎角部で外方にもち上げることにより、近位骨片が外側にはねて出現します。剥離子を骨切り骨片間に挿入し、近位骨片の取り出しと内側翼突筋の適度な剥離を行ないます。
骨切り骨片の調整
下顎骨を後方に移動する場合、近位骨片が大きく外方に突出することがありますが、その場合には骨片を削合します。切痕部付近の接触部の骨削合を行い、骨切り骨片を広く接触させるよう調整します。さらに近位骨片下端の突出部の削合、切除も行います。
咬合の安定性の確認
遠位骨片の可動性が十分に得られたら、術前に作成したオクルーザンスプリント(シーネ)を介在させ、下顎歯列がスプリントに適合することを確認します。上下の顎間固定をゴム牽引で行います。
創閉鎖
最後に粘膜骨膜縫合を行いますが、血腫予防にペンローズ・ドレーンを留置します。なおドレーンは翌日の退院前に抜去します。
併用手術
MMR法においては、最大小顔効果を出すためには、以下の様々な手術を併用します。
下顎角骨切り術
エラが下方向に張り出している場合には、下顎骨下縁の骨切りを併用すると斜め顔、横顔で大きな縮小効果が得られます。骨切り予定ラインに忠実に、3mmのラウンドバーで骨切り線に沿って溝を掘っていきます。
次にコントラアングルドリル(直径1.5mm、長さ25mm)という直角に曲がったドリルを使用することが私の方法の特徴です。コントラアングルドリルは口角で邪魔されることなく自由に角度調節ができ、骨孔は意図した通りに開けることができます。ドリルホール間隔は1mm程度で、できるだけ密に孔開けを行います。密にあけたドリルホールが切り取り線の役割をなして、骨ノミ(オステオトーム)で軽くたたくだけで、骨切りを完了します。
外板切除(分割法)
前方は下顎枝前縁から外斜線に沿って下降し、下顎下縁まで縦方向に皮質骨に溝を掘ります。
その際に私はピエゾサージェリーという、超音波削骨器械を使用しています。上方は咬合平面と一致した範囲とします。この範囲で外板の分割を行います。
次に専用の骨ノミを用いて、外板の裏面に沿わせて骨切りを行います。下歯槽管走行部位までは薄刃のノミにてゆっくりと骨を分割していきます。海綿骨が皮質骨についてくる場合にはより慎重に分割します。外板だけ分割終了後には、前方、上方の皮質骨は可及的にラウンドバーで削骨し段差を慣らしていきます。
ラジオ波による咬筋凝固法
ラジオ波(RF)による咬筋減量の統計データでは、咬筋の厚みは20~30%減少します。実寸で2~3mm細くなります。手術は口の中からのアプローチであるため、皮膚表面のマーキング部位から23Gの長い針をマーキングしたポイントから刺した状態で、RFプローブの先端を直接咬筋に接触させ、筋肉内に差し込み、焼灼します。
バッカルファット(頬脂肪体)切除術
口腔内の切開線の下顎枝面に沿って、局部麻酔を注射することで容易に頬脂肪体が判別できます。鋏を左右に開きながら、脂肪体を引き出して、線維をより分けて容易に突出してくる量だけをペアンでクランプして、バイポーラーで凝固しながら切離、摘出します。