顎矯正手術 顎矯正手術面長、中顔面短縮、ガミースマイル
上顎の縦方向の成長が異常に大きい状態は、垂直的上顎過長 vertical maxillary excess(VME)とよばれています。患者様の具体的な要望は、中顔面を短くしたい、ガミースマイルを改善したなどです。
顔貌の特徴
上顎の垂直的成長が過剰で、その結果として下顎が反時計回り回転して顔面高が異常に長い(面長症候群)。顔の面長症候群は下顎角が大きく、短小な下顎の症例と上顎歯槽部の拡大の症例を含んでいます。とりわけ中顔面が縦方向に長いのが特徴です。
- 口唇安静時に上顎前歯が露出する
- Interlabial Gapが大きい
- スマイル時に歯、歯肉が過剰露出(ガミースマイル)
ガミースマイル
笑った時に、上顎の歯肉が見えすぎる状態をガミースマイルと呼びます。家族的要因や、成長の過程で口唇と顎骨の発育不均衡によって起こるものです。病的な障害ではなく、審美的理由から美容外科を来院されます。
治療法
- 口唇の挙上を軽減させる方法
A型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス®)の注射、選択的表情筋離断術 - 口唇を引き下げる方法
- 上顎の歯列弓を上方に移動する方法
LeFortI型骨切り術(ときに+SSRO(下顎枝矢状分割術)
ここでは当院で施行されることの多い、LeFortI型骨切り術によるガミースマイル改善術を紹介します。
馬蹄形骨切り併用Le Fort I型骨切り術
ガミースマイルの治療では、上顎骨を上方移動させるわけですが、下行口蓋動脈周囲の骨の干渉が問題となります。さらに鼻腔底の挙上による下鼻道の狭窄が起こるため、鼻腔機能に対して好ましくありません。
さらに上顎を上方に移動した場合には相対的に上顎の突出感は強調されるために、元来上顎突出が多いガミー患者様では、上顎を少し後方に移動させると良い結果が得られます。ただし上顎の後方移動の際にも、上顎結節部と翼状突起の干渉が問題になります。また、上顎の後方移動をおこなう場合には、下顎枝矢状分割術や下顎枝垂直骨切り術などを同時併用する、いわゆる上下顎同時移動術(two jaw surgery)として行われることになります。
上顎の上方移動、後方移動に対して有用な方法は、馬蹄形骨切り併用LeFortI型骨切り術ということになります。
馬蹄形骨切り併用LeFortI型骨切り術は、LeFortI型骨切りによるダウンフラクチャー後に、下行口蓋動脈が走る口蓋管を避けて、その外側から上顎洞底を前方に向かって骨切りして、前方部では鼻腔底を横切る骨切りを行って、歯列骨片と口蓋骨片とを馬蹄形に分割する方法で、上顎の後方移動、上方移動に用いられます。