顎矯正手術 顔面非対称下顎非対称
顔貌の特徴
顔貌上では、口裂の偏位(特に下唇の偏位)、オトガイ最下点の偏位、下顔面の輪郭変形、左右下顎角の位置の差、関節突起の長さ・形態の左右差、下顎枝の長さ・形態の左右差などが挙げられます。全体として下顔面の輪郭に様々な程度の歪みを認め、下顎前突を伴うことが多いようです。
歯列の特徴
歯列上では、顔面正中に対する下顎歯列正中の偏位、交叉咬合、下顎前歯歯軸の近遠心的傾斜などが挙げられます。
治療方針
手術による改善では、主として非対称の原因の存在部位の位置の移動、切除及び増量などにより対称性の回復をはかります。その際に咬合を無視することはできません。
歯列に異常があればこれを修正し、上下歯列の正中を可及的に顔面正中に合わせ、歯列全体の正常被蓋を確保します。咬合状態によっては、手術前の歯列矯正が必要になることもあります。さらに下顎骨の輪郭上の左右差非対称を修正します。
- 下顎枝矢状分割術(SSRO)
- 下顎枝矢状分割術(SSRO)+下顎枝垂直骨切り術(IVRO)
- 下顎前歯部歯槽骨切り術+オトガイ形成術
- 下顎体部の増量術
- その他
SSRO
SSROは下顎移動術のなかでもっとも応用範囲が広い優れた手術法です。両側を矢状分割して切り離せば、中央の歯列を含む大骨片は3次元的にかなりの自由度をもって移動できます。さらに近位骨片との分割面が広いため、移動後の再固定が容易です。しかし、下顎頭を含む近位骨片は、基本的には本来の位置に修復して移動した遠位骨片と再固定すべきです。その際、下顎頭に過大な回転が加わったり、付着している筋肉の走行に大きな変化をきたすようであれば、顎関節障害や術後の後戻りが起こる可能性があります。
SSRO+IVRO
移動量の左右差が大きく、一側の移動が小さい症例では、移動量の大きい側をSSROで、小さい側をIVROで切離します。片側のSSROのみで予定の咬合位下顎歯列に移動できる場合もありますが、手術しない側の下顎頭の回転が大きくなり、顎関節に対する影響が懸念されます。したがって、このような場合にでもIVRO を行って下顎頭にかかるストレスをなくすべきです。
下顎前方歯槽骨切り術で対応できるものは、下顎非対称に伴う交叉咬合が前歯および小臼歯部に限定されていて、大臼歯部はおおむね正常被蓋であるものに限定されます。前方歯槽部骨切り術に合わせて、オトガイの偏位側の下腺を一部切除ないし骨片移動、あるいは非偏位側の増量により形態を整えます。
咬合の状態には大きな問題がなく、オトガイの最突出点もほぼ正中に位置するが、左右の下顎下縁の輪郭に左右差があり、一側が陥凹している場合には増量で対応可能です。材料としては、ハイドロキシアパタイト、メタクリル酸メチルなどの人工材料が用いられます。
顔面非対称
下顎非対称
このページです。