出っ歯、受け口などは顎変形症と呼ばれ、顔貌のコンプレックスを主訴に、審美的な理由で治療の対象となります。治療に際して、“咬合の改善”と“顔貌の改善”を両立させる必要があります。
顎変形症 jaw defirmities、dentofacial deformities
上顎骨または下顎骨、あるいは両者の大きさ、形、位置などの異常などによって顎顔面の形態的異常と咬合異常をきたして美的不調和を示すものを、顎変形症と称します。顎変形症の代表的な分類法は以下の通りです。
骨格型の分類
1)Sassouniらの分類
顔面の前後的な不調和に垂直的な不均衡の関連することから、セファロ側面のアーチ分析に基づいて、顔面骨格を骨格性不正咬合に関連して4基本型に分類しています。
そのうち2つは垂直的不均衡を示す過蓋咬合と開咬であり、残る2つは水平的不均衡を示すClass2 とClass3 です。これら4つの基本型を組み合わせて、骨格性不正咬合に関連する顔面骨格型を8つの型に分類して、それぞれの特徴を図示した。
2)菅原の分類
菅原は、Sassouniの分類を参考として、伊藤らの図形分析法を応用して、前後的要因による3型と垂直的要因による3型とを組み合わせて、9型に分類している
①前後的要因による分類
ClassⅠ:上顎骨とオトガイ部の位置関係が基準系図形のそれに近似するもの
ClassⅡ:オトガイ骨部が上顎骨部より相対的に後方に位置するもの
ClassⅢ:オトガイ骨部が上顎骨部より相対的に前方に位置するもの
⓶垂直的要因による分類
average face: オトガイ部が基準図形のそれと比較して上下的にほぼ同位置にあるもの
short face: オトガイ部が基準図形のそれよりも上方に位置するもの
long face: オトガイ部が基準図形のそれよりも下方に位置するもの
咬合の分類
Angleの分類
Angleは上顎第一大臼歯(6番)を咬合の鍵と考え、上顎歯列弓と下顎歯列弓の近遠心的関係で不正咬合を分類した。
Ⅰ級(ClassⅠ):上下歯列弓が正常な近遠心的な関係(上顎第一大臼歯の近心頬側咬頭の三角隆線が下顎第一大臼歯の頬面溝と咬合する)を示すものである。
Ⅱ級(Class Ⅱ):下顎歯列弓が上顎歯列弓に対して、正常よりも遠心に咬合するものである。
1類:両側性下顎遠心咬合で、上顎前歯の前突を伴い、かつ口呼吸を示す。
2類:両側性下顎遠心咬合で、上顎前歯の後退の後退を伴い、正常な鼻呼吸を営む。
Ⅲ級(ClassⅢ):下顎歯列弓が、上顎歯列弓に対して正常よりも近心に咬合するものである。
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顎矯正手術一覧
下顎前突(受け口)
下顎前突は、受け口、反対咬合などとも呼ばれ、“咬合の異常+下顎の前方突出”した状態です。治療法として、外科矯正手術として、下顎矢状分割法(SSRO)、下顎枝垂直骨切り術(IVRO)、または下顎前方歯槽部骨切り術が行なわれます。
下顎前突(受け口)の治療法
上顎前突(出っ歯)
上顎前突は、上下顎前歯切歯縁のオーバージェットが、正常より大きい不正咬合で、上唇部または中顔面の前突感の強いものの総称です。なお異常を示す部位により歯槽性上顎前突症および骨格性上顎前突症の2つに大別されます。
上顎前突(出っ歯)の治療法
上下顎前突
上下顎前突(両顎前突)とは、上顎前突と下顎前突症を合併した顔貌です。治療法としては、Two Jaw Surgery(上下顎同時手術)を基本とします。
中顔面過長・ガミースマイル
上顎の縦方向の成長が異常に大きい状態は、垂直的上顎過長(VME)とよばれ、中顔面が長く、ときにガミースマイルを呈します。治療法としては、上顎の歯列弓を上方に移動する手術法が行われます。
中顔面過長・ガミースマイルの治療法
顔面非対称
下顎のみに左右差がある場合を下顎非対称症、上顎にも変形が及ぶ場合を上下顎非対称症とします。治療法として、非対称の部位、状態によって、さまざまな上下顎骨切り手術を検討します。