顔面輪郭形成術 オトガイ(あご)・顎削り延長(顎を長くする)
手術の方法
オトガイスクエア骨切り術
麻酔
手術は全身麻酔で行われます。約1時間で終了します。
切開
下口腔前庭U字切開よりアプローチします。通常オトガイ孔をまたいでエラ方向に向かって、骨切りを追加するため、粘膜切開はオトガイに限局せず、下顎角手術での切開を追加します。
剥離
骨膜下に広範に下顎骨を露出します。左右のオトガイ神経を確認して、3次元模型から骨切り安全領域を直接骨に印記します。
これはオトガイ孔から下の距離を測定しています。
骨切りデザイン
通常は横幅30~35㎜のスクエア(長方形)な骨切りデザインを印記します。
上方水平骨切り部では、前歯部に歯根より5㎜以上離します。
底面では移動骨片がホームベース型となるように、両下端を斜めに骨切りするようにデザインします。斜めの切り上げ角度は下歯槽神経の走行位置から逆算します。
骨切り
サジタル骨鋸にてスクエア骨切り、下端斜め方向の骨切りを行います。
骨片の可動性を確認したら、固定より先に両外側の骨切りを行います。
オトガイ孔からの距離を確認しながら、オトガイ神経をまたいで、エラ方向に向かって骨切りを行います。私は内側から外側に向かってはサジタル、外側から内側に向かってはオシレーティングを使用します。
但し、外側に向かっての骨切りが短い場合には、サジタルから外の段差はテシエノミにて、断端を均していきます。
骨片固定
中央部のホームベース型の骨片を下方に移動させ、マイクロクロプレート3枚で固定します。骨片移動量は手術前に決定していますが、中央部でのオトガイ高35~36㎜を基準としていますので、通常3~4㎜程度です。
骨片移動後の空隙には、先に切除した両端の骨片を挟み込んでおきます。
両端の段差を修正
骨片固定後にオトガイ底の形態が滑らかに細くなるように移行部、オトガイ神経下方を再度トリミングします。
閉創
口腔粘膜は吸収糸で閉創します。
ペンローズドレーンを留置し、手術は終了します。
シリコン・インプラント法
一方、短く後退しているオトガイの場合、逆に前進させることによりオトガイ高が長く見えるため良い結果となり、インプラント法が適応となります。
インプラントによるオトガイ形成は局所麻酔下で行えるため、また術後の腫れを考えますと患者様にとっては低侵襲な方法です。しかし、インプラントで美しいオトガイを形成する為にはいくつものコツがある。
術後に問題となるのは①インプラントの形態、②インプラントの位置(上方偏位しやすい)が多い。市販のインプラントの形態は辺縁にグラデーションがなく、そのままの形で使用すると辺縁の段差が目立ち不自然な形態となりやすいため、術者自身で加工する必要があります。
私は自身で設計したオリジナルのインプラントをメーカーに作製(オーダーメイド)してもらっているため、辺縁はスムースに骨に移行し、自然な形態となります。
術後に多い形態的な不満ですが、インプラントが上方に位置することです。これはドクターの未熟な技術に起因することが多く、剥離方法の問題です。
口腔前庭切開は2cm以内として、オトガイ下端に向かって扇形に剥離していくことが重要です。さらに下端においては骨膜剥離子から剪刀に持ち替えて骨膜を下顎下縁で切断し、上方への圧力を解除し、インプラントの下端を骨の下端に合わせます。粘膜切開部から巾広く剥離してしまうとインプラントは必ず上方に移動してしまうため横顔ではで奇異なオトガイ形態となるので注意を要します。
インプラントによるオトガイ形成は一見易しそうですが、実はきれいなオトガイ形態を作るのには熟練が必要です。